入れ歯(義歯)治療

 入れ歯を入れている患者さんの悩みの多くは、
「入れ歯が痛い」
「外れやすい」
「ちゃんと噛めない」
というものです。
抜けてしまった歯を補うために入れ歯を入れているのに、歯として機能していないのは大きな問題です。 体のどこかにいつも違和感や痛みがある状態というのは、本人が自覚している以上にストレスになっています。 ましてや、毎日の楽しみであるはずの食事がおいしく食べられないというのは、本当につらいことだと思います。 このつらい事を、1日3回、ひと月で100回近くも、さらに1年間で約1100回も我慢しなければなりません。 

 入れ歯を入れてから、なんだかイライラするようになったり、笑わなくなった…という話をよく聞きます。 「入れ歯は、痛くて外れやすくてちゃんと噛めないのが当たり前」ではありません。 きちんと原因を取り除いて、快適な生活を取り戻してほしいと願っています。 もちろん、保健の入れ歯でも、保健の許す範囲内で一生懸命丁寧に作ると、満足してもらえる場合もあります。  しかし、多くは運が良かっただけで、安定して患者さんが満足できる最高の入れ歯を提供するのは困難です。 ましてや、患者さんによっては顎の状態が良くなくて、入れ歯を作りにくい場合もあります。

 保険の入れ歯ではうまく食事ができなくて困っていらっしゃる患者様には、保険の入れ歯以外の方法(自由診療)をご提案させていただいています。 保険の入れ歯に比べると費用は高いのですが、1日3度の食事のストレスが無くなることは大きいと思います。
費用の差には、
1.材料の差
2.高い精度とそれを実現する技術と手間
があります。 

1.材料の差: 保険の入れ歯では、柔らかいレジンで作られている為、食べ物やコーヒー、タバコの汚れを吸い、樹脂内部まで汚れや臭いが染み込み、口臭の原因になることがあります。 自由診療の材質は、吸水性の低く、非常に硬いものを使用し、臭いが染み込んだり、傷がつかないので衛生的です。

2.高い精度: 保険の入れ歯では、簡単な型とりしか出来ませんので、食事や会話の時の筋肉の状態を考慮することができず、ある程度の精度のため、どうしても入れ歯がガタついて違和感があり、入れ歯は小さくなってしまいます。 自由診療の入れ歯は、型とりだけでも特殊な方法で複数回行い、筋肉の動きまでも再現して入れ歯をさくせいします。 そのため、入れ歯の安定が非常によく、顎と一体化して、笑ったり、歌を歌ったりと、大きな口を開けても、筋肉が入れ歯を支えて吸着します。 他人に入れ歯と気づかれることも少なく、発音も綺麗にできるようになります。
何よりも、自由診療の入れ歯を作られたすべての患者様に、“作ってよかった!”と言っていただいています。 保健の入れ歯に比べると費用は高いのですが、それ以上に満足していただいていることの証だと思っています。

■部分入れ歯
数本の歯が抜けてしまったときに、残っている歯に「クラスプ」という金属のバネを引っかけて、歯を補う方法が保険治療の部分入れ歯です。 歯は左右から揺さぶられる力に弱いので、バネを引っかけられている歯にかかる負担が大きくなり、その歯もいずれ抜けやすくなってしまいます。

 歯が抜けてしまえば、また新たに部分入れ歯を作り直さなくてはいけませんし、年をとるに従ってあごの骨がやせてきますから、定期的に調整していく必要もあります。 引っかける歯がなくなってしまえば、総入れ歯になってしまいます。

 また、保険の部分入れ歯は噛む能力が天然の歯の30%程度と言われ、食事を以前のように楽しめないとおっしゃる患者さん、金属のバネがかなり目立ちますので、その点を嫌がる患者さんも多くいらっしゃいます。

 保険の部分入れ歯よりはしっかり噛める保険外(自費)の部分入れ歯や、クラスプの部分が目立たない保険外(自費)の部分入れ歯もあります。 しかし、歯科医として「今ある歯をいかに残すか」という点で考えると、抜けてしまった歯を単体で補えるインプラントの方が、患者さんの精神的な負担が軽く済み、長く快適に生活できるのではないかと思います。

■総入れ歯
歯がとうとう一本もなくなってしまったら、総入れ歯を入れることになります。 保険治療の場合は、柔らかいプラスチック製の総入れ歯しかありませんが、保険外(自費)の総入れ歯にはいろいろなタイプがあります。 あごの骨の状態が良ければ、インプラント治療や、インプラント義歯(入れ歯)治療ができる場合もあります。

 保険のプラスチック製の入れ歯は、違和感が強かったり、しゃべりにくい、食べにくい、外れやすいと言われています。噛む能力は天然の歯の20%くらいで、かたいものはほとんど食べられないという方が多いです。

 総入れ歯でもインプラントに負けない食生活を提供していただきたいとの思いから、日本における総義歯学の重鎮であられる阿部晴彦先生の御指導やご助言を頂き、入れ歯で悩まれているすべての患者様に満足していただける総入れ歯を作成しています。

■見た目の美しさ
噛むという、歯本来の機能の他に、見た目の美しさにもこだわる患者さんが最近では増えてきました。きちんと噛めて、見た目もきれいでいようとする患者さんは、確かに心身ともに若い印象があります。

入れ歯が気になって笑えない、友達と旅行や食事に行くのがおっくう、いつも違和感があってつらい――など、人には言いづらい悩みをあなたも抱えているかもしれません。

保険の治療では限界がありますが、保険外(自費)の治療であれば、機能性が高く、見た目も自然できれいな入れ歯を作ることができます。

■残った歯を守るために
入れ歯を入れることになった今、残った歯や歯ぐきをどう守るかが大切です。
歯が抜けてしまったのには、必ず原因があります。抜けてしまった歯のところに入れ歯を入れてそれで終わり、ではなく、歯が抜けた原因を見つけて、それを解消しましょう。そうでないと、また歯が抜けてしまったり、歯ぐきや骨の状態が悪くなって、将来もっと苦労することになってしまいます。

原因を取り除いた後は、きちんとメンテナンスをしてと定期検診を受けて、口の中を清潔な状態に保ってください。抜けてしまった歯を教訓に、もう歯が抜けてしまうことがないように、歯ぐきや骨をできるだけ健康に保つように、一緒に努力していきましょう。

私があなたのためにできるのは、歯科治療を通して健康なお口の環境を作り上げることです。あなたの努力と私の歯科治療によって、あなたが何かを我慢したりあきらめたりすることなく、快適で楽しい生活が送れる用に願っています。